糖質制限食とケトン体その2

糖質制限食を実践していくうえで知っておきたいケトン体について解説していきます。

内容はすこし専門的になりますが、糖質制限食パーフェクトガイド 江部康二著 などの糖質制限関連の本とあわせてご覧ください。

二回目はケトン体の役割(使われ方)をお話しします。


ケトン体は人体のエネルギーとして使われますが、
ここで人体のエネルギーシステムを整理してみます。

①解糖系

糖質→グリコーゲン→ブドウ糖
まず血液中のブドウ糖がエネルギーとしてして使われます、次に肝臓に蓄えられたグリコーゲンからブドウ糖が作られます。

②糖新生

●脂肪組織→グリセロール(中性脂肪の分解物)→ブドウ糖
●筋肉→アミノ酸→ブドウ糖
●ブドウ糖代謝→乳酸→ブドウ糖

肝臓にグリコーゲンが無くなった場合に糖新生によってブドウ糖が作られエネルギーとして利用されます。
赤血球にはミトコンドリアが無いので、ブドウ糖しかエネルギーとして利用できません。そこで糖質の摂取量が少なくても、ブドウ糖が不足しないよう糖新生によりエネルギーが確保されています。

③脂肪酸

脂肪が分解さえた脂肪酸がエネルギーとして使われます。
脳の場合は、血液脳関門があるため、脂肪酸は分子が大きく脳細胞内に到達できず、利用できません。

④ケトン体回路

脂質→脂肪酸(β酸化→アセチルCoA)→ケトン体


ケトン体は人体にとってどのような役割を持っているのか

糖質の摂取が少なくなるとグルコース消費が抑えられ、ケトン体が使われます。

ケトン体は肝臓以外の臓器にエネルギーとして提供されています。

また前述したように赤血球にはミトコンドリアが無いため、ブドウ糖のみがエネルギーとなりケトン体を使うことはできません。

通常GULT1(糖輸送体GULT1は赤血球・脳・網膜などに備わっていていつでもブドウ糖を利用できる)によりブドウ糖を優先して使う脳や網膜細胞もケトン体を利用することができます。

脳は、血液脳関門があるため、エネルギーとして分子の大きい脂肪酸を利用することができませんが、ケトン体は利用できます。
このためケトン体は脳でのエネルギー(ブドウ糖の代替エネルギー)として重要な役割を担っています。

また、骨格筋や心筋でもエネルギーとして積極的に消費されています。

ケトン体はタフなエネルギーである

ブドウ糖の場合、体に蓄積できる量は肝臓のグリコーゲンとしての600Kcolが精一杯のところ、ケトン体の場合材料である中性脂肪は脂肪酸などで10万Kcol分、タンパク質は筋肉などに2万4000Kcol分もの量を蓄積できます。グリコーゲンの600Kcolだと安静時の8時間分のエネルギーですが、中性脂肪だと55日分のエネルギーに相当する事になるのです。(BergJM他:ストライヤー生化学第6版 東京化学同人2008)

まとめ

糖質制限を実践すると、エネルギーとしてケトン体を使うことが多くなり、多くの脂肪を消費することになります。
そしてメタボ解消やダイエットの効果につながるものと思われます。


参考にさせていただいたサイトと著書
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B1%E3%83%88%E3%83%B3%E4%BD%93
糖質制限食パーフェクトガイド 江部康二著

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